Katakana-日本のかっこいいを集めたお土産屋さん

探しモノの旅 九州編 2日目

#さがしモノの旅


お待たせしました。探しモノ旅 九州編の2日目です。
昨晩は深夜に博多に到着して駅前のホテルに泊まり、今日は朝から博多駅周辺
を散策しました。
さすが、博多は九州の玄関口だけあって、九州中のモノがたくさん集まっていま
す。お土産コーナーを一周するだけでもワクワクしてしまいます。
一番気に入ったのが東急ハンズの1階にある「はかた・び」入口を入ってすぐの所
にある「ハンズ版 九州のお土産屋さん」。とても良いセレクトで思わず、あれも
これもと買ってしまいました。博多駅構内から直結でアクセス抜群なので、電車
待ちの時間があったら覗いて見て下さい。楽しいですヨ!

話が少し横道にそれます。
実はこの日の朝、katakanaがテレビに映りました。
番組は「はなまるマーケット」初の全国ネットです!テレビ局の方から「8:34か
らのコーナーで紹介しますヨ」と言われてお店のスタッフと日時の確認を何度も
しあって楽しみにしていました。「10分間のコーナーだから絶対に見逃してはダ
メだからね!!」そして当日。僕は博多のホテルの部屋でワクワクしていました。
目が覚めたのは7:10まだ少し早かったです。そして知らないうちにウトウトと、、
そうです。「ハッ!!!」と起きたら8:45。そのコーナーは終わっていました。
すぐにスタッフに電話してそのことを告白すると大笑いされた後「とても良い感
じで紹介して頂いてましたよ!録画してあるので出張から帰ってきたら見て下さ
いね」 僕は消え入りそうな声で「はい、、、」と言ったのでした。

話を戻します。
レンタカーを借りて長崎の波佐見町に向かいます。
波佐見は開業前のバイイングをしている時に知り合った㈱マルヒロの馬場君がいる
町です。お店をOPENしてからもkatakanaに遊びに来てくれたり、年に2回の
展示会で挨拶したり、色々相談にのってくれる僕にとって九州の頼れるパートナー
です。彼に会うたびに「波佐見に行くからね~!」と言い続けて2年程、今回やっ
と念願が叶いました。
福岡から高速道路で1時間半。波佐見に到着!


すぐそばに川が流れ緑が濃い山の中に馬場君達の会社があります。
中に入ると全員が満面の笑顔で出迎えてくれて、何だか「ほっ」としてしまい
ました。会社の中は「コンコンコン、コーン」と心地よい音が響きわたってい
ます。何だろう?出荷担当をしている湯下君が教えてくれました。「この音は
最終検品をしているのですヨ!」窓際で従業員の方が2人、黙々と器を1つ1つ叩
いています。窯上がりした器を一定期間寝かせて、出荷する前にひび割れが無
いかを器を叩いて音で判断するそうです。目に見えないひびも音ですぐに分か
ってしまう。僕も検品作業をやらしてもらいました。確かに良品とB品では音
の澄みかたが違うような気がします。この様な地道な作業を経てこの器たちが
僕達のお店にやってくると思うと今まで以上に商品を大切に扱わなければいけ
ないな!と感じてしまいました。
そうしているうちに馬場君が「お待たせしました!それじゃ窯元に案内します
よ!」車で走る事10分。最初の窯に着きました。



この窯では馬場君の看板商品「HASAMI」を焼いています。
以前から話は聞いていましたが、このHASAMIシリーズの最大の特徴の色を
安定して製作するには地道な研究の成果と高い技術が必要なのだと、現場を
見てヒシヒシと感じてしまいました。
その後も専門用語がバシバシ飛び交う説明を聞きました。
以前岐阜の窯元に行った時も感じましたが、改めて焼き物はサイエンスです。


窯入れ前の「HASAMI MAG」この色が焼き入れ後には
お馴染の真っ赤に焼きあがります。


簡単そうに見えて、熟練の技が必要な釉薬かけ


波佐見はその昔、登り窯がメインだった為、ほとんどの窯元が
山の中。その為工房の中も坂道です。坂道を「ひょい!」と
器達を持ち上げて軽々と運んで行きます。
「やってみる?」と聞かれましたが、そんな度胸を僕は持ちあ
わせておりません(笑)


馬場君のお師匠の1人の光春窯の社長。
お忙しい中、お邪魔致しましてありがとうございました。

「次の窯に行きましょう!」と連れてきてくれたのが陶房 青。ここはお店で
大人気の富士山のぐい飲みを焼いている窯元です。
窯の案内もそこそこに応接室に通され、出迎えてくれた社長から色々な話
を聞きました。窯の話、土の話、波佐見の歴史、絵付けの話。本当に色々
です。焼き物の事を詳しく知らない僕には興味深い話ばかりです。
その中でも一番心に残ったのは、この土地の未来の話。来月のイベントは
どうしよう?来週の売場は大丈夫かな?明日の売上はどうだろう?と目の
前の心配ばかりをしてしまう僕にとって、この社長の10年後、20年後に波
佐見の土地が焼き物産地として、どうあるべきか?その為に何をしなけれ
ばならないか?と言う話を聞くにつれ、知らない間に僕もつられて視界が
ドンドン拡がって行くのでした。


この味のある風貌に魅力的なお話!また色々教えて下さいね!
陶房 青 吉村社長


少しでも時間があると、すぐに器の話が始まります。
内容は難しい話ですが、聞いているだけでワクワクします。右が馬場君。

気がつくとこの社長さんとの楽しいお話に2時間半が経っていました。
次の目的地に向かう車の中で馬場君がボソッとつぶやきました。
「あの社長との商談で2時間半は最長記録かも?河野さんの事気に入っち
ゃったのかな?」馬場君としては想定外のロング商談をしてしまったので、
予定していた白山陶器に伺う事が出来ませんでした。う~ん残念。
時計を見るともうすぐ17時。馬場君がどうしても連れて行きたいと言う
場所に来ました。


観光交流センターの中にある「くらわん館」
閉館間際の建物の中は僕達2人だけでした。
先程の吉村社長からや馬場君の口から何度も出た言葉が「くらわんか」です。何だ
ろう?と思って聞いてもニヤリとするだけで教えてくれません。
資料館に入って波佐見の歴史を1つ1つ馬場君が丁寧に解説してくれました。
そうして江戸時代のコーナーに来た時に彼はゆっくりした口調になり言いました。
「この時から波佐見が日常食器の街として確立されたのですよ」目の前には沢山の
茶碗や湯呑が展示されています。特大のパネルには江戸時代の民衆が渡し船から食
べ物を買う姿。その手には皆この器を持っています。
「昔、磁器や陶器は庶民には高価で使えないモノでした。でも藩の政策として安価
な器を世の中に広めようと作られたのが、くらわんかの始まりです。」船の上から
食べ物を「くらわんか~ くらわんか~」と言って売っていたのが語源だそうです。
そして食べ終わると川に投げ捨ててしまう程安価に供給をしていた器なのだそうで
す。今で考えると紙コップの感覚と同じように使われていたのだと思いました。

波佐見の歴史をお勉強した後、同じ敷地内にある「陶器公園」をお散歩しました。
各国の古代から近世にかけての窯が敷地内に展示してあります。
ここで僕がビックリしたのは馬場君の反応でした、1つ1つの窯を真剣に見て、注釈
を丁寧に読んで「うおぉ~中国スゲ~!う~んトルコなかなかやるな!」と独り言
を言っています。さっき聞いた話では、この公園は彼が高校生の時に出来て、数え
切れないほど来たことのある場所だそうです。
何度も見ている窯のはずですが、始めて見聞きした様に目を輝かせている。
僕は何度も見聞きしている事に対して、こんな反応が出来るだろうか?
自分の中でハッとさせられた瞬間でした。



真剣に解説を読んでいる馬場君。

もう一軒見て欲しい所があるそうなので移動します。
ELLE DECOで紹介された事もあるお店だと車内で教えてくれました。
波佐見でELLE DECO?失礼だとは思いましたが僕の頭の中では結びつきません。
そして到着したのがここ。


「HANA わくすい」と言うお店です。
もう駐車場からのアプローチにノックアウト!
本当に素敵なお店です。古い陶磁器工場を改装して3、4件のお店がこの敷地内にあ
ります。馬場君はこの店の常連らしく楽しそうにお店の方や他のお客さんと早速
お喋りをしています。店長さんを紹介して頂きビックリしました。この女性の高
塚店長さんは僕達のお店katakanaを知っていました。「お会い出来て光栄です!」
と、こちらが照れてしまう様な挨拶を頂きました。
僕は広いお店の店内で何度も何度も「いいな~いいな~」と独り言を言いながら
目をキラキラさせてお店の中を隅から隅までじっくりと拝見させて頂きました。

もう1人店内で紹介して頂きました。
お客様だと思っていたのですが、同じ敷地内にある「cafe restaurant monne legui
mooks モンネ・ルギ・ムック」のオーナー岡田さんです。一見怖そうな雰囲気ですが
笑うととっても魅力的で優しい笑顔になる人で、僕と同じ位の年代の体格の良い男
性です。岡田さんのお店にお邪魔しました。店内はとっても良い雰囲気で、その日
特別に夕方に閉店した店内はスタッフの方達が明日の仕込みをしている最中。席に
座った途端僕はこの店が大好きになりました。スタッフの方達の笑顔、絶対に美味
いと思われる仕込みの香り、照明やテーブル、このお店全体を包み込む空気感。
何だかどこかで感じたことがある様な気がします。


岡田さんは全国各地の伝統工芸の産地を見て廻って、この波佐見町が気に入って
お店を開業したそうです。たしか出身は東京だったとおぼろげに記憶しています。
そしてビックリしてしまったのが「AUX BACCHANALES オーバカナル」出身
との事。オーバカナルは僕の中では特別なお店です。会社勤めしていた15、6年
前、原宿でちょっと休憩と言ったらこのお店に必ず行っていました。
その時、横にいつも座っていたのは今の妻です。
接客業をしていた僕達には、このお店は夢の様な世界です。本当にPARISにいる
様な店中は、決してイスやテーブルを本場から運び入れただけでは醸し出せない空
気で充満しています。美味しいバケットを売っているテイクアウトコーナー、英語
やフランス語のフライヤーがドッサリ置かれている入り口の片隅。レストルームが
地下にある事。そこに行くまでの通路でチラッと見える厨房でフライパンを振るう
コックさんの格好の良さ、そして心地よい良い動きと対応のギャルソン達。
ここで働いているすべての人達から自分の仕事へのプライドを感じました。
そして、このお店への思いに対して舞台の一員としてきっちりと答えているのがお
客さん達。何一つ欠けても駄目なのだと思っていました。僕にとって理想のお店です。
でも残念ながら2003年ビルの建て替えの為に閉店。
閉店の少し前の話です。夕暮れ時、小腹が空いたので妻とクロックマダムを食べてい
た時の事です。お店の奥からサックスの陽気な音色がカフェの方に向かってくるのが
聞こえて来ました。聞いたことのある曲です。振り返ると「世界のナベサダ!」渡
辺貞夫さんが、千鳥足の様におどけた足取りで店内を演奏しながら練り歩いています。
店内は即席のライブハウス状態!店員さん達の温かい目とお客さま達のアッホームな
盛り上がりは今でもハッキリと覚えています。
岡田さんとパートナーを組む女性のスタッフがパイ生地をこねながら言いました。
「ナベサダさんは御機嫌が良くなると、突然演奏し始めるのですヨ!でもそんな時
に出合えるなんてラッキーでしたね!」そうです。彼女もオーバカナル出身者です。
そうか!店の作りはまったく違うけど、あの店のDNAが流れているから、僕はこの
お店が好きなんだ。

その後、「明日はどこ行く?」「今夜の宿は決まっているの?」「そこに行くなら絶
対にここに寄った方がイイ!」とワイワイとスタッフの方全員で教えてくれ、宿も電
話で予約してくれて、おススメのレストランにも電話してくれたりと、色々お世話に
なりました。とても、とても楽しい時間でした。本当にありがとうございます!


外に出ると夕暮れ。
次の目的地の大分に向かいます。


㈱マルヒロの皆さん本当にありがとうございました!
また来ますね!!

いよいよ次回はこの旅の最終日です!

日本のカッコイイを集めたお土産屋さん
katakana/カタカナからの出張報告でした。