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さがしモノの旅 博多編

#さがしモノの旅


昨年の冬の始め、日本のモノ作りの発信活動をされているメイド・
イン・ジャパン・プロジェクトさんからご連絡をいただきました。
「福岡の工芸品を都内のお店20軒で紹介する企画に、ご参加いた
だけますか?」

内容を詳しく聞くと、福岡県が指定した工芸品のリストから、そ
れぞれの参加店舗が自分の店で紹介したいモノを一つだけ選ぶの
だそうです。おぉ! 面白そう。

そこで提示されたのが、こちらの工芸品リスト。
博多織 久留米絣 小石原焼 高取焼 八女福島仏壇 博多曲物 
きじ車 大川組子 八女すだれ 博多人形 今宿人形 などなど。

「器や布モノもいいな~」とリストを眺めていて、目にとまった
のが博多人形でした。
“博多人形のような白い肌”というフレーズは聞いたことがありま
すが、実際にじっくりと見たことはない。知っているけどよく知
らない……。カタカナは、博多人形を紹介することに決めました。

博多人形の作り手、博多七五三吉さんを訪れるべく、福岡へ。
向かった先は、博多駅から2駅の箱崎です。
迎えてくださった二代目の高野幸博さんは、小柄で、もの腰は柔
らかいけれど芯の強そうな方という第一印象。

「このへんは田んぼばかりだったけど、最近は家がたくさん建っ
てきた……」などとお話ししながらのんびりと小路を歩いた先、
六軒長屋の一番手前にある高野さんの工房に到着しました。

最初に見せてくれたのがこの作品。
博多人形というと立ち姿のイメージでしたが、この作品をみて息
をのみました。何とも美しく繊細です。これぞ日本の職人技。

高野さんは今年78歳になられますが、この作品は19歳のときに
仕上げたものだそうです。当時まわりの先輩人形師たちから、
「おまえは19歳で完成してしまった、これを超えるモノはでき
ない」と言わしめたほどの作品です。
その後、いろいろな作品を作り、その後完成したのがこちら。


写真は素焼きの状態ですが、ここから絵筆で色を入れていきます。
着物には桜の花をびっしりと埋め尽くすのだそうです。
この素焼きの人形を手にとった瞬間。
「美しい、、」と単純に思いました。
この型を作るのに一年以上かかったそうですが、博多人形のスタ
ンダードとは違うのでなかなか認めてもらえなかったそうです。
どの工芸品、いや、どの業界にもある、“スタンダード”と言う、よ
く言えば「基準」、悪く言うと「足かせ」。ここにも世の中に発表
されているけれど広まらないモノがありました。

しばらく鑑賞させていただいたあと、気になることを聞きました。
「このお人形、お値段はどのくらいなんですか?」
「だいたい40万〜50万円かな」
「・・・」
僕がとてもお金持ちになったら、この人形を50万円で買えるで
しょうか? でも安心してください。この人形は高野さんの作品
のなかでも最高峰クラスです。
今回は、3,000円台から1万円未満の手頃なモノをセレクトしま
した。もちろん、伝統工芸師である高野さんの手作りです。

最後に、高野さんに人形作りで大切にしていることは何ですかと
伺いました。

「人形師は、彫刻家であり、画家であり、陶芸家でもあります。
人形作りの工程は一つひとつどれも大事ですが、一番大事なこと
は“イメージ”です。これが人形師の魂です。感動を、想いを、願
いを、夢を、形に美しい彩りをのせることを大事にしています」

80歳を目前にして、残りの人生でどれほどの人形を作れるだろう
かと考えたとき、作りたいものが無数に浮かんでくるそうです。

高野さんが重い病気にかかった40代の頃、大変な闘病生活から
救ってくれたのは、庭に咲く花だったそうです。いま、高野さん
の博多人形には必ず花の文様が描かれています。

先日、我が家の梅の花が満開になりました。花が咲くと心が軽や
かになる気がします。博多七五三吉の高野さんがつくる博多人形
の花を、ぜひ眺めに来てください。

FUKUOKA Kogei Week
お気に入りの店で見つける福岡県の工芸品
日時 2018年3月2日(金)~3月11日(日)
場所 katakana/カタカナ自由が丘店
   東京都世田谷区奥沢5-20-21第一ワチビル1階

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