Katakana-日本のかっこいいを集めたお土産屋さん

NO CONTROL AIR/ノーコントロールエアーの洋服の話

#商品のこと

以前もお伝えしたかもしれませんが、僕は洋服屋さんに長い間勤めていました。OLさんを主な対象としたブランドで、最初はお店に配属され、掃除の仕方から接客の大切さや、チームで進んでいく事の重要性を学びました。本社に異動してからは、バイヤー(仕入担当)やマーチャンダイザー(商品の責任者)を経験して、モノの選び方や商品がどの様に出来上がっていくのかと言う事を、先輩や取引先のメーカーさんに沢山教えてもらいました。洋服が大好きだった事もあって充実した日々を送っていました。

しかし、僕には夢がありました。
「いつかは自分でお店をやりたい!」
お店を開くなら「洋服屋さん!」と疑いもせずに思っていましたが実際、いま僕は「お土産屋」の店主です。

「なんで??」と良く聞かれます。
実は4~5年位前から、洋服の業界全体が効率を追求する動きが今まで以上に激しくなってきた様に思います。無駄を省き、売れ筋をいち早く生産し、売れないモノはすぐに現金化と言う名の値引き処分、、、そして新しい商品を次々と生産する、、、そして、看板を取ったらどのブランドか分からない、似たような店がたくさん出来上がり、そして消えて行きます。

決して効率化を否定しているのではありません。非常に大切な事だと理解はしています。ただ、せっかく自分でお店を作るなら、そのような渦の中にはいたくないと思ったのです。katakana自由が丘店の開業準備の段階から洋服を扱う事は決めていました。問題はどんな洋服を扱うかと言う事です。

毎シーズン変わって行くトレンドには流されたくはない。何かしっかりとした筋が常に通っていてほしい。前職の経験から洋服のメーカーさんは沢山知っていますが(多分200社は下らない位)、僕たちの店にと考えてしっくりくるブランドは有りませんでした。

実は一番仕入先の選定に苦労したのが洋服です。洋服の業界を知り過ぎているだけに選ぶ基準が厳しくなっているのかもしれません。こんな事では開業日に洋服が1点も並べる事が出来ないと思い、自分の中で基準を作る事にしたのです。

【1】 5年経ってもお気に入りでいられる洋服を作っているブランド。
【2】 日本製であること。
【3】 レディースとメンズを両方展開しているブランド。

考えに考えて出した基準が上記の3つです。

こう書いてみると簡単に見つかりそうなのですが、これがなかなか見つからないのです、、、「洋服は無しでOpenするか!」と思いかけていた時に、ちょっとした出会いがあったのです。

ある展示会で少し変わったマフラーを見つけました。ブランドの名前は「Tou」。トウと読むそうです。細くなが~いマフラーなのですが、形が変わっているのです。なが~い手袋の形をしたものやなが~いセーターをした形をしたものなど、この様なデザインのモノは下手をするとチープな感じになってしまいがちですが、きちんと丁寧に作られていて、素材も良いモノを使っています。

是非お店で取扱いたいと思い、早速発注をしました。その後、別の展示会場で偶然彼らと再び出会いました、その場で何気なく、洋服のブランドが見つからない事を話すと、意外な言葉が返って来ました。

「僕たちの本業は洋服のブランドをやっています」
「、、、、えっ!? 是非、是非!見せて下さい!!」

「嫌です」

「、、、、、、えっ??? なんでですか~??」
「あまり東京方面では拡大をしたくないのです、ちょっと別な事を考えていまして、、、」

ガックリ!!

きっと彼らの作る洋服は素敵なモノに違いないと、思い込んでいる自分がいました。一点のサンプルを見た訳でも、写真を見た訳でもないのに。その場で、しつこくブランドの名前だけは聞き出すことが出来ました。

【no control air】
それが彼らの洋服のブランド名です。

NO CONTROL AIR

早速パソコンで検索するとホームページが見つかりました!数枚のコレクションの画像を見ましたが、「ビンゴ~!」僕が求めていた雰囲気を醸し出しています。その後は、何度もメールと電話でラブコールを送り続けました。

こんな内容です。

お世話になっております。NO CONTROL AIRの画像を拝見させて頂きました。感想と致しましては「是非取扱いをさせて頂きたい!」スタッフ全員一致の答えでした。私達のお店は5年、10年経っても色褪せない物を扱いたいと思っており、現在様々な方と商談させて
頂いております。先日もメールで書いたかもしれませんが、難航していたのが洋服でした、、

僕たちの目指す洋服は、時代の空気感がきちんと表現されていて、なおかつ、捨てられない洋服。5年後にタンスの中から引っ張り出して来て、また着たくなる洋服です。コレクションの画像を見て、「これかも!?」と思ってしまいました。

お忙しい中恐縮ですが取引のご検討の程、宜しくお願い致します。

そしてこんな返信をもらう事が出来ました。

NO CONTROL AIRでは、コレクション毎にテーマなどはありません。2002年よりスタートし、今まで、NO CONTROL AIRがやるべき事、NO CONTROL AIRが選択すべき事をコレクションで発表してきました。ですので、NO CONTROL AIRのコレクションで今シーズンが先シーズンと全く違うというのはありえません。それはもしかしたら他のメーカーに比べて単調に映るかもしれません。

以下2010A./WのInvitationに記した文章です。

私たちはいつも、生地と型紙の上でいろんなことが見えなくなりとても悩みます。具体的な拠り所を持たないようにしていることが原因です。なかなか次のステップへの決心がつきません。ぎりぎりまで悩んで、確信を持たないまま決断して洋服が出来上がっていきます。結果として私たちの洋服は、言葉での説明や分類が付き難いといろいろな方から指摘されます。

今回も、たくさん悩んだ上に出来上がって来た洋服が、展示会に並びます。きっと、確信をもたない揺らいだ洋服を御覧いただけると思います。是非、お出掛けください。

展示会のご案内のメールでしたが開催日はまだ先です、、いてもたってもいられずに、大阪の事務所に商品を拝見させてもらいに行って来ました。思った通りのステキなコレクション、きらびやかな感じでもなく、シンプル過ぎるわけでもない。トレンドがすごく入っている訳ではないのに、今の空気が確実に出ている洋服達です。

デザイナーの米永さんにお話を聞くと、彼は元々建築の勉強をされていたそうです。そんな経歴も影響していると思うのですが、素材に対するこだわりが、半端ないです!あと、「着た時にどの様な造形が生まれるのか」に徹底的に考えるそうです。トアルを組んでいる時に、シャツを作ろうと思って作業しているうちに、出来上がったのはジャケットだった!と言う事は良くある事と笑って話してくれました。

ノーコントロールエアーの作りだす洋服達は、年齢と言う概念を軽く飛び越えてしまいます。20才の人が着ても、70才の人が着ても少しもおかしくない。ただし、似合うには1つだけ条件があります。

この洋服達が放つ香りに同調出来るかどうか?と言う事。

NO CONTROL AIR

初めて大阪の事務所に突撃訪問した時に撮った米永さん達。本当は実際に触れてみて欲しいのですが、お店に来る事が出来ない方にはWebで販売もしています。質問があったら気兼ねなく聞いて下さいね。

もっと詳しく知りたい方はカタカナオンラインストアでご覧ください。

「日本のカッコイイを集めたお土産屋さん」
katakana/カタカナ自由が丘店の河野でした。