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さがしモノの旅 香川・小豆島編 その4

#さがしモノの旅


小豆島の朝です。今回の旅は3日間ずっと晴れ!とっても気持ちがイイ!!
8:00に井上君が車でホテルに迎えに来てくれて「さがしモノの旅」最終日のスタートです。
一番最初に向かったのはお醤油屋さん。今日は2軒のお醤油屋さんに連れていってもらえます。その前に紹介されたのが、「醤油ソムリエ」の黒島さん。噂には聞いていましたが、お醤油にソムリエがいるとは興味津々です。黒島さんは小豆島の人で、学生時代は京都の芸術大学で過ごし、彼女の大学での卒論を「自分を育ててくれた小豆島の為になる事」を選び、テーマをお醤油にしたそうです。古文書調べや色々な蔵の職人さんや社長さんと交流を深めていったそうです。彼女は醤油の生産量や地域分布などの統計データや蔵元の特徴などとても分かりやすく説明してくれます。彼女が同行してくれたのがお醤油屋さんと佃煮屋さん。


黒島さんと井上君 良い笑顔です!

正金醤油さんに到着しました。
良い感じに細い路地が続きお醤油の香りが漂って来ました。


昨日ヤマヒサ醤油さんの蔵を拝見させて頂いたので、醤油蔵見学は二回目です。
大きな大きな樽の上に上がると大きな穴が整然と並んでいて、そこにお醤油がなみなみと入っています。正金醤油の社長の藤井さんは、優しい口調でポツポツと解説してくれました。とてもシャイで「僕なんてまだまだ、、」と謙遜をする言葉に醤油ソムリエの黒島さんがこっそり僕に教えてくれました。「正金の社長さんはああ言っていましたけど、モノ凄く研究熱心で伝統と技を持って醤油造りに情熱を注いでいる人です。その事がきちんと醤油の味に出ているのですよ!。正金さんのお醤油は真面目で優しい味がするのです」


正金醤油の藤井社長と黒島さん

正金醤油さんに別れを告げて、次は佃煮屋さんに向かいます。
移動の車の中で小豆島は佃煮の1大産地だと聞きました。またしても勉強不足、、、知りませんでした。京都や全国各地の高級店などにも小豆島で作ったモノをパッケージに詰めて出荷している会社も沢山あるそうです。洋服業界で言うOEMですね!数多くある佃煮屋さんの中で黒島さんが案内してくれたのが、小豆島食品さんです。この会社は現在この業界では少なくなってしまった。無添加の佃煮にこだわって職人さんが手作りをしているのだそうです。


一見佃煮屋さんとは気がつかない様な建物です。明治中期に建てられた
醤油蔵をそのまま保存して使っていて、小豆島の佃煮工場の中では唯一
有形登録文化財に指定されているそうです。


中に入ると「グツグツ ぐつぐつ」と佃煮を作っている最中でした。
大きな鍋に入った佃煮をこれまた大きなシャモジでひたすら混ぜていくのです。
簡単そうにやっていますが、職人技とは単純に見える作業こそ熟練の経験が必要なのです。
いきなり失礼かと思いましたが久留島社長に「なぜ無添加にこだわっているのですか?」と質問をしました。その答えは僕を納得させるものだったのです。「添加物を使って旨味を出すほうが実は簡単で楽なんです。でもそれだけでは他の工場と同じモノになってしまう、その先には価格競争しかないのです。私達のような小規模の会社は価格競争では大資本の会社には勝てません。そこで効率を追求する会社には出来ない事をやろうと、無添加に挑戦しはじめたのです。」てっきり僕は「体に良いから」という言葉が最初に出るかと思っていたのですが違いました。自分達が佃煮屋の看板をしっかりと自信を持って残す為に、手間とコストのかかる事を選んだのだと言います。あまりに正直な言葉にとても共感してしまいました。さらに久留島さんの言葉は続きます。「添加物を使わないと言う事は、ごまかしが効かないと言う事でもあります。その為に素材がとても大事になってきます。佃煮の具材は勿論。醤油もヤマロクの鶴醤(つるびしお)で無いと美味い味が出ません(※小豆島の高級醤油です)砂糖も鹿児島喜界島産の粗糖で無いとダメなのです。ダシをとる昆布は利尻産、鰹節は、、」と次々とこだわりが溢れ出て来ます。最高級の材料を選んで使っている訳ではなく、本当に美味しい佃煮を作ろうと思った結果、今の食材達に辿り着いたのだそうです。
出来たて熱々の佃煮を試食させて頂きました。「美味い!!」すると久留島専務が「今食べたのはウチの佃煮の中でも最低ランクのモノですよ」え!?十分美味しいのですが、、次に試食させてもらったのがこちら!


久留島さんが厳選した最高級の食材で作った佃煮です。
【小海老のしぐれ煮】
原材料名:海老、醤油、砂糖、生姜、鰹ぶし、昆布
瀬戸内海で獲れた小海老のみを使って高知産の生姜を加えてじっくりと煮込んでいます。
すごく小さな海老ですが、口の中に入れると「ふわ~」っと海老の香りが広がります。「これは!美味し~い!」
【ちりめん山椒】
原材料名:ちりめん、砂糖、山椒、醤油、鰹ぶし、昆布
瀬戸内の播磨灘で獲れたちりめんに兵庫県の丹波産の山椒の実を加えてじっくりと煮込んでいます。ほんのりと甘いちりめんに山椒の実が口の中で弾けて、熱々のご飯が何杯でもすすんでしまいそうです!美味い日本酒を熱燗でチビチビつまみながら食べたら、なんとも幸せな気分になりますよ。「う~ん!美味い!」

その後久留島さんが奥から出して来てくれたのがこちら!


北海道、羅臼産の最高級の昆布です。1箱なんと10万円!!!
昆布は90%が養殖で天然のモノは非常に少ないそうです。そして天然モノの中でもランクがあり、一等、二等の等級の他に、黒と赤・走りと後取りがあるのだとか。勿論この昆布は「天然・黒・走り」のまさに市場に出回る昆布の最高峰!久留島さんが教えてくれました「この昆布より良いモノは皇室や伊勢神宮等の神社に納める昆布だけなんですよ」知らなかった、、、祭壇にお供えしている昆布はそんなに高級だったとは!


今回お店で選んだのがこの5品


【左】無添加 最高級佃煮 ちりめん山椒・角切り昆布・小海老のしぐれ煮
【右】貝と茎ワカメの佃煮・角切り汐吹き昆布※こちらは若干の添加物が使われています。
まだまだ黒島さんや久留島さんからお話を沢山聞きたいのですが、今回はここでお別れです。続きは次回のお楽しみに取っておこうっと!。案内役の井上君は次の目的地に車を飛ばします。次はお塩職人さんに会いに行きます。
山道を飛ばす事30分。地元の井上君も見過ごしてしまう位の脇道に小さいけれど誇らしげに看板が立っていました。


浜辺で塩作りをしていると聞いていたのですが「塩屋 波花堂」の看板からはだいぶ下に海が見えます。

看板を通り過ぎるといきなり林道!車1台がやっとの細さ。この道を転げ落ちるように坂道を下って行きます。激しく揺れます、かすかな恐怖感。

そして到着!塩作り職人の蒲さんの作業場です。

振り返ると瀬戸内の海!!

ここで蒲さんは1人で塩を作ります。目に前の海から海水を引き入れて、赤い鉄釜でグツグツ海水を沸騰させます。そして更に下の鉄釜で更にグツグツ、グツ。火力は薪のみでグツグツ。そうしてやっと一握りの塩が出来るそうです。昔ながらの作り方で丁寧に大切に作っていきます。出来上がった御塩を一口なめさせて頂きました。
しょっぱい!でもそのあと口の中が「ふわっ」と旨味が残ります。しょっぱいけど辛くない!舌の上に塩の濃厚な塩味がドンときて、引き潮の様にスッと引いていきます。井上君が言いました「これが瀬戸内の海の味です」塩は色んな産地で作られていますが、それぞれ味わいに変化があってたのしいです。波花堂の蒲さんのお塩はシンプルに塩おにぎりで塩自体の美味しさを堪能したいと思いました。さらに海老などの魚介類の天ぷらのつけ塩は間違いなく素材を引き立ててくれそうです。上等なステーキに1摘み振っても美味しいかも?!そんな事を妄想していると蒲さんは「普通の御塩と同じように使って下さいね!」なるほど!どんな料理でも味の深みがUPしそうです。


この人が蒲さん。蒲さんは小豆島の出身ではありません。岐阜の出身なのだそうです。岐阜の雪深い地域で彼は育ち、大人になったら南の暖かい所で暮らしたいと思っていたとか、南の地方や南の島にも色々いったそうですが、小豆島が一番しっくりときて住んでしまったそうです。蒲さんは優しい口調でなぜ塩作りを始めたかを教えてくれました「ある日突然思い出したのです。子供のころ理科の授業で塩作りの実験をした事を。出来上がった塩の結晶がとても、とてもきれいで、ヨシ!将来僕は塩を作る人になる!!と夢をえがいていたのです。ずっとそんなことは忘れていましたが、やっぱりやってみたいな!と思って御塩屋さんをやっています。」
凄いな~!子供の頃の夢を実現する事も凄いですが。ずっと忘れていた事をある時思い出し実際に動いてしまうとは。


蒲さんと奥さま!とてもお似合いの素敵なご夫婦です。
実は蒲さん数日前に右手を大やけどしてしまったのです。この後高松の病院で手術
の為一週間位入院をしたそうです。今ではだいぶ回復して元気に塩作りをしているとの
事で安心しました。多分この時はハンパ無く痛みがあったと思いますが、本当に丁寧
に対応してくれました。ありがとうございます!!

波花堂の御塩はkatakanaで取扱いをさせて頂いています。
試食もあるので蒲さんの塩の味を味わって見て下さいね!

次は今回の旅で3軒目のお醤油屋さん。
ヤマロク醤油さんにお伺いさせて頂きました。
5代目の山本社長は気さくに僕を出迎えてくれて「3軒目の醤油屋だったら大体もう分かってるね!」と言いながらも蔵の中を案内してくれました。ズラリと大きな木桶が並んでいる様子は何度見ても存在感に圧倒されます。

ずっと見つめていると木の桶が生きているのだと感じて来ました。

ヤマロク醤油さんの事は井上君からずっと前に聞いていました。「小豆島の醤油屋さんに凄い事をやっている人がいる」僕はその時信じられなかったのですが、山本社長からお話を聞いて思わずうなってしまいました。
お醤油の木桶はとても丈夫で50年から60年使えるそうです。山本社長の代ではほとんどの木桶は現役で使えるそうです。でも子供の代、孫の代、ひ孫の代まではこの木桶達は使えないモノになってしまいます。そこで将来を見据えて木桶を新調しなければなりません。
そこで大きな問題が発生しました。この醤油を仕込む大きな木桶を作れる職人さんは大阪にある桶屋さん1社だけなのだそうです。3兄弟の職人さんで作っているそうですが、皆さんお年になってきたので「そろそろ辞めようか」と言う話が出たそうです。後継者のいないこの桶屋さんが無くなるということは、この先の未来、木桶で醤油が作れなくなってしまう。ヤマロクの山本社長は木桶で作るお醤油は日本食の伝統の根底を支えているモノだと考えています。何としてでも絶やしてはならないと思い立ち、島の大工さん2人を連れて、ナント!大阪の桶屋さんに修行に行ったのです。自分が木桶作りを覚えれば未来にこの味を引き継ぐ事が出来る!僕は唖然としてしまいました。山本社長は孫やひ孫やその先の子孫の事も考えていると思いますが、もっとスケールがでっかく日本の食文化の事も考えているのだと感じました。たぶん僕と同じ位の年代だと思いますが、激しく刺激を受けてしまいました。

想像以上にハードだった修行の様子は醤油ソムリエの黒島さんのブログに紹介していましたのでこちらを是非見て下さい!


黒島さんのブログを読んでくれましたか?
竹の縄を編むところを思い出してみて下さい。
山本社長から聞いた話で印象に残った事をもう1つ。木桶を締めるモノは真竹が良いそうです。しかも上等な10数メートルの立派な竹です。ヤマロクの敷地内に真竹が沢山あったそうですが、先代が「邪魔だ!」と全部切ってしまったそうです。子供の頃は何とも思わなかった山本社長ですが、今後島で木桶を作る事になると上等な真竹は絶対に必要なのです。島の中を探しますがなかなか良い竹がありません。そんなある日、近所の方にいわれたそうです「たしか、おまえのじいさん、あの山のふもとに竹、植えとったぞ。いつか使う日が来るかもしれん。と言っとった」あわてて探しに行くと見事な竹が生えていたそうです。僕はこの話を聞いて鳥肌が立ってしまいました。上の写真の山のふもとだそうです。


これが新桶!そして5代目山本社長! 6台は大阪の職人さんが作り、1台は山本社長と島の大工さんが作ったモノです。自分達で作った木桶を実際に使い、修理しながら木桶作りを学んでいくそうです。次は木桶自体がお師匠さんになるのだと感じました。

3軒のお醤油屋さんに訪問させて頂きましたが、どのお醤油もとても美味しい!それぞれの会社によって味わいが違います。今回セレクトしたのはヤマロクさんの醤油です。決め手は未来に対する情熱と行動力!このお醤油を味わうたびに山本社長を思い出し、僕ももっと頑張らなければいけない!と想うのです。


選んだのはこの3品
【鶴醤(つるびしお)】左
口の中でぱっと広がる芳醇な味と香り。
「鶴醤」は「深いコクとまろやかさ」を極限まで追求したヤマロク醤油の自信作。
「再仕込み製法」を用いて造るこの醤油は約2年の熟成期間を経て完成した生醤油を、商品にすることなくもう一度樽に戻し、再び原料(塩以外)を加えて、もう2年ほど仕込む二度仕込み。
倍の原料と歳月を加え自然の力でゆっくり育てること。塩の代わりに、かどのとれた生醤油の塩分を利用することで、これまでにない深いコクと香り、まろやかを引き出しました。
【菊つゆ】右
「菊醤」をベースに、羅臼産の昆布と枕崎産の鰹節でだしをとり、種子島産の砂糖で甘口に仕上げた香り高いだし醤油です。素麺、うどん、そばなどの麺つゆとして。また、煮物、おでん、天つゆなどのお料理にもよく合います。たまごかけご飯にも最高です。『菊醤=原料にこだわり、あっさりとしたキレのある旨みと、口の中でほんのり香る甘みとコクを引き出した正統派のお醤油です。
原料には旨み成分が強い大粒の「丹波黒豆」を使用。小麦はうどんの本場、香川県産の「讃岐の夢2000」を使用しました。』
【新桶初搾り】中央
今回紹介した新桶で作ったお醤油です。実はこの新桶初搾りと名称をつけられるのは、木桶を新設した時だけなのです。次は出合えるのは何年後か?何十年後か?貴重なモノを少しだけ分けて頂けました。


次に井上君が連れて来てくれたのがオリーブ園。小豆島は街路樹に普通にオリーブが植えられています。到着したのが高尾さんのオリーブ畑。山一面オリーブが植えられています。「ん?」なんだか似た風景を知っています。そうだ!リンゴ畑に似ています。木の種類、枝ぶり、葉っぱ、全然違うのですがなぜかそう感じました。小豆島のオリーブは100年以上前に日本で最初に栽培されたそうです。雨が少なく日照時間が長い事がオリーブの発育にピッタリだったのだそうです。でもここまで有名になるまでには本当に多くの方の努力の成果なのです。


オリーブの実を摘んで「ギュ!」と押し出すと果汁が出て来ました
口に含んでみると苦みの中にもコクがありました。


高尾さんです。オリーブに惚れているのが一目でわかってしまいました。
また遊びにいきますね!

今回高尾農園さんから送って頂いたのはこれ!
【オリーブの塩水漬け】

大人気の為すぐに完売してしまいました!
再入荷検討中~

あと数軒ありますが今回はここまで、、
真砂さんもう少し待っていて下さいね!

日本のカッコイイを集めたお土産屋さん
katakana/カタカナからの探しモノの旅の報告でした。