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革作家 平山篤さん×代表 河野 「で、平山くん、これからどうしてく?」【前編】

#コラム

すべての行程を手作業で、革小物を作る「A24HR8M.JP」の平山 篤さん。
モノ作りと真摯に向き合い、それを素直に表現する平山さんのマルシェは、
いまやカタカナにとって欠かせないイベントのひとつです。
しかし平山さんは現在に至るまでに、ブランドを解散したり、
制作の拠点を鎌倉から千葉に移したりと、いろいろなことがありました。
そんな平山さんに、これまでのことを聞き、そしてこれからのことを話すために、
代表の河野が千葉県房総半島にある彼のアトリエを訪れました。
前後編でお届けします。

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きっかけは、レジで見たお客さまのお財布

河野 僕たちが平山くんを知ったきっかけは、2014年の冬に、レジでお客さまのお財布()を見た
ことです。革をくるくると開いて、お札がするすると出てくる様子に目が釘付けになって。思わず
「どちらのブランドですか?」と声をかけてしまった。でも、そのお客さまはその場で思い出せず、
「鎌倉の……思い出したら連絡します!」と言って帰られて。そうしたら、10分後くらいに走って
戻ってきてくれたんですよ。「思い出しました!」と。

平山さん(以下、敬称略) 当時はジュエリー作家と一緒に「BAMBOO GRASS MOUNTAIN」と
いうブランド名で活動していました。そのときのお財布ですね。

河野 僕たちは職業柄、とても多くのお財布を見る機会があって、印象的なお財布もいくつも見て
きたけれど、お客さまに声をかけてしまったのは初めてだったんだよね。

平山 すごい……。

河野 すぐにパソコンで検索して、鎌倉のアトリエ兼ショップにノンアポで訪ねたら、なんとお店の
シャッターが閉まってる……! がっくり肩を落としてふと見ると、下のほうが少しだけ開いていて、
中に人がいる気配がしたんだよね。それで隙間から覗き込んだら、平山くんと目が合って。
これが最初の出会いでしたね。

その後、2015年の夏の終わりにイベントを開催するということが決まって、そのとき僕はクラッチ
バッグをオーダーして、それまでに育てておこうと。

河野 最初のイベントを開催してみて印象的に感じたのは、平山くんのお財布を見たお客さまは、
「ちょっと考えてまた来ます」と言ってお店を出られるんだけど、本当に戻ってこられる方が多い
こと。お財布って、どんなに素敵なモノでも、なかなか衝動買いするようなものではないのだけど、
平山くんのお財布は、「やっぱり忘れられません」って言ってみんな戻ってくるんだよね。

平山 それはすごく嬉しいですね。

河野 すべて手縫いだということも、お客さまには魅力的に伝わるんだけど、それに対しては僕、
「ミシン使えばいいのになぁ。なんで使わないんだろう」って素朴な疑問を抱いちゃったんだよね。
手縫いはたしかにすごいことだけれど、やっぱり作れる数に限界があるから。あのときも、たしか
「手縫いだから卸売りはしていない」と断られて。とにかく手縫いであることがこだわりなんだと、
強く感じましたね。

平山 革でモノづくりを始めたときからずっと手縫いだったので、これ以外、考えられないんです。
手縫いでしかできない構造もありますし、そもそもミシンという発想自体がいままでなかったですね。
でも、あのとき「手縫いだから卸せない」と答えたのは……言い訳でしたね(苦笑)。当時は、今後の
活動について迷いがあった時期だったので、新しいことを何も決断できない、始められないという……。

河野 そう、ブランドはその後、残念ながら解散してしまったんだよね。良くも悪くも何もなければ解散
しないわけで、僕たちはすごく心配していたけれど、「なんで?どうしたの?」と聞くこともできない。
だからこちらからは連絡しなかった。いつか姿を見せてくれるだろう、と信じて待っていました。

平山 2015年の年末に鎌倉の拠点を引き払って、1月半ばに千葉に移ってから数カ月間は自分の活動
について悩み続けて、何も作れない時期がありました。解散してすぐにご挨拶に行きたかったけれど、
作品もないし、とても行ける状態ではないなと。でも、なんとか作品ができて、少しずつ行動を起こ
そうと決めて、2016年の初夏に横浜のハンドメイドマルシェに出店したんです。そうしたら、カタカ
ナのバイヤーの小田さんと偶然お会いしたんですよね。

河野 そう! え、平山くんいたの? 生きてた!? ってもう大騒ぎで。

平山 そこで赤と青のロゴの入った名刺をいただいた瞬間、「もうお店に会いに来ていいんだよ」と
呼んでもらえたような気がして。すぐに自由が丘に向かいました。

→後編に続く

A24HR8M.JP

 

 

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