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カタカナ河野の気になる街とモノとコト vol.10 福岡「TERCEIRO」

#コラム


カタカナ河野の気になる街とモノとコト vol.10 福岡「TERCEIRO」

福岡のテルセイロさんには、以前も一度伺ったことがあります。
そのときはちょうど1階で靴ブランドの「forme(フォルメ)」さんのイベン
トを開催していて、2階のテルセイロさんの店舗はクローズだったので、今回
は念願の再訪問なのです。

天神から地下鉄で数駅の大濠公園を港の方面に歩き、まわりにお店がほとんど
ない地域にテルセイロさんの入居している建物があります。開店時間にお店に
着きましたが営業している気配がない、、10分ほど待っても開く気配がない、、
臨時店休日に来てしまったかな?とがっかりしていると、雰囲気のある70年
代製くらいのワーゲンが「ドドドゥドゥ」とやって来ました。運転席から飛び
降りて「すみません!すぐに車を置いてくるのでもう少し待ってください!」
と声をかけてくれたのが、このお店のオーナーの浅岡さん。

彼女の後をついて、店の脇にある非常階段をカンカンカンッと上がっていき、
アルミ枠にワイヤー入りの曇りガラスがはめ込まれた工務店の事務所の様なド
アを開けると、そこには別世界がありました。
ある程度は外観と内装のギャップは想像していましたが、いかにも作り込んだ
内装をしています!という感じでもなく、すべて自分で手作りしましたという
クラフト感満載でもない。自然体でバランスがとれているおしゃれ空間。店内
を歩くスピードがゆっくりになり、背筋が伸びて、緊張感はないけれど凛とし
た空気が心地よい。10坪ちょっとの店が外の空間と切り取られたような不思議
な感覚でした。

素敵なモビールがゆったりと店内の空気の流れにまかせて揺れています。
「その作り手さんは木工作家の○○さんと言って、年に一度お店で個展を開催
するのですよ、個展の時は常設のモノを整理して、このスペースが彼の作品だ
らけになります。彼のモノ作りは、、、、」。一品一品についてゆっくりと丁
寧で思いのこもった説明をしてくれます。あれっ? この感覚知っている。
カタカナの接客に対するスタンスと似ています。
お店を見渡すと浅岡さん自身が丁寧に選ばれたであろう商品が、思わず手に取
りたくなるようなディスプレーで置かれています。そのほとんど僕のはじめて
見るモノでした。
研ぎ澄まされたセレクトの仕方にとても勉強になり、迷いのある商品のない空
間は潔く、モノを選びやすいと改めて感じたのです。

お店でイベントを開催するのは年間5〜6回。それぞれのイベント期間はだい
たい1週間。2ヵ月に一度くらいのペースで思いのこもったイベントを行って
いるそうです。

一つのイベントにしっかりと準備期間をかける。

1年を通して絶え間なくイベントを開催している僕たちは、この「準備に時間
をかける」ということが苦手です。常に走りながら考える。日々の営業にバタ
バタして、気が付くと開催中のイベントが残り5日になっていて、ということ
は5日後に次のイベントの設営を意味することだったりします。2週間ごとに
売場の催しが変わると、常に新しい商品が入るのでお店が常に動いているとい
うワクワク感がある反面、1年中すべての期間をイベントで埋めなければなら
ないという強迫観念にかられることもあります。

イベントとは何か?
何のために開催するのか?
カタカナらしいイベントとは何か?
それらの答えを見つけないといけないな、、とテルセイロさんに来て感じました。

街の中心部からはずれた場所に、お客さんがやって来る。
お店自体が目的地になっている。

オーナーのこだわりを徹底的に丁寧に納得するまでやり続けるお店。
今後カタカナでチャレンジしたいお店のスタイルです。


今度、気になるイベントがあったら再度訪問したいと思います。
東京から、その店のためにその街に行きたいと思う。
そういう場所を見つけました。
テルセイロさん。大好きなお店です。
お土産にオリジナルのパンツを買いました。
いつかカタカナでこの洋服をご紹介できる日を夢見て。
あぁ! 来てよかった。ありがとうございました。

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