Katakana-日本のかっこいいを集めたお土産屋さん

さがしモノの旅 福岡筑後編 ~宮田織物~

#さがしモノの旅


数年前からカタカナの冬に無くてはならないモノ。
それは、いちど着たらやめられない、あたたかいハンテンです。
このハンテンを作っているところが見たくなり作り手のもとを訪ねました。


福岡行きの始発便にのるために早朝の羽田空港第一ターミナルに到着しました。
毎月のようにこの場所からさがしモノの旅に飛び立っていた僕は、コロナ禍とは言え、こんなに動かなかったのははじめてで、やっぱり動いている方が僕たちらしい。


それでは「さがしモノの旅 福岡・筑後編」のスタートです。
今回の目的地。ハンテンを作る宮田織物さんへ向かいます。


大きな看板がお出迎え
福岡空港から車で1時間くらい。
宮田織物さんの本社工場に着きました。
工場好きの河野はすでにワクワク状態。


宮田織物さんはどんな会社?

1913年創業なので、2021年の今年で108年!
久留米絣の里の筑後市で、絣の織元だった会社が、
はんてんを作りはじめて50年以上。
宮田織物さんがすごいところが、一本の糸を選ぶことから始め、
デザイン、織り、裁断、縫製まで、全て自社生産。
文字にすると簡単ですが「すべて自社生産」とは、
だれも真似ができない事だらけでした。


良い人が集まると
良いモノが生まれる

出迎えてくれたのが担当の平野さん。

物腰がやわらかくて、トークがとても楽しくためになるウンチクも。
ハンテン作りにとても詳しい平野さんですが、実は移住者なのです。
ご家族の体調などで空地のキレイな温暖な土地をさがしていたところ、この筑後地域が候補になりました。
会社探しもユニークで、グーグルマップで「大きな会社だなぁ」と検索したのが宮田織物さんだったのだとか。
今ではハンテンが大好きになった平野さん。モノ作りの現場を紹介したくてウズウズしていることが伝わり、こちらもワクワク。


① 織物のデザイン

まず最初に案内されたのが、このデザイン室。

アパレル出身の僕は、サラリーマン時代にいろいろな洋服を企画して店頭に送り出していました。しかし、デザインは出来上がったモノから生地を選ぶことからスタートします。

しかし、宮田織物さんは糸から選んで柄をデザインするこのからはじまります。


データ入力は想像力

プログラムを組むのはこの機械!
この白黒画面にテキスタイルをデザイナーさんは、鮮明に出来上がりの生地を想像しているのです。もともとのセンスもあるのでしょうが、きっとこの作業は地道な努力から生まれることが多くありそうです。
しかし、機械のヴィンテージ感がハンパない。
30年、いやもっと古くから現役かもしれません。
古い事務機器に目がない僕は、うっとりしてみてしまいます。
そして、電算機と言えば SHARPですね。カッコイイ!


さきほどのコンピューターでデータを打ち込んだものが、この機械でパンチカードになります。これもヴィンテージ!


このパンチカードで織られた生地がこれです。


そして、データの記録はカセットテープ。
最近は80年代のリバイバルにカセットテープが注目されていますが、

宮田織物さんの生地は、以前よりずっとカセットテープに保存されているのです。
裏のインデックスを見ると柄の種類がびっしりと手書きされていました。

② 糸から織布
さきほどのデザインされた生地をつくるために、最初にやることが「整糸」です。
糸を一本から選び抜き、生地ごとに糸をセットする作業は手間と根気が必要です。


工場というと自動化されていて、無人のように思われますが、糸を一本一本セットするのはすべて人間の手作業です。


流れるように機械が動くためには、人が心をこめた手作業が大切なのです。


たくさんの織機
ここは織布といい、実際に布を織っている場所です。

ガッチャマンと昔は言われ、昔は繊維産業が日本の花形だった時代を超えて、今日もこの場所は勢いよく「ガチャン!ガチャン!」と音が響いています。


スピードを重視した機械、複雑な模様が得意な機械、ゆっくりと織りあげる機械。
それぞれの特徴をいかした機械がたくさん並んでいます。


これは大型の織機で縞模様を織っていました。


機械なのですが、ガチャン!ガチャン!!との音とともに動く様子は、とてもユーモラス。
ずっと見ていたくなる面白さなのです。


これは高速織機です。
めちゃくちゃ早く機会が動き、人の目ではとうてい追いつけない。


こんかいひと際目を引いたのがこの織機。
なぜかと言うと、一番小さくて、機械の動きが楽しそうだったから。

「これがシャトル織機ですよ。この会社の中でも古い機械です。
古い織機だけに扱いが難しく、そしてゆっくりとしか織れません。
けれども、この織機でしか出せない味わいのある織物ができるのです。」
と平野さんが教えてくれました。
この生地を使っているのが、カタカナで大人気商品の「山並ハンテン」
ふんわりとした、やさしい木綿織物です。


お店でも僕たちが愛用している「山並ハンテン」
ダウンベストにひけを取らないあたたかさ。

肌あたりの良さは、ゆっくり織られていたからでした!


たくさんの生地
何種類あるかわからない。。
そんな言葉もうなずける壮観な倉庫です。

ここにあるモノはすべて自動で出来たものは無く、たくさんの人の手がかかわっているのでした。


③ ④商品デザインと生産
あさイチで訪れた工場見学もそろそろ2時間くらい。
ハンテンを生産する縫製部門にやってきました。


ちょうど今はお昼時間。
縫子さんたちは休憩中でした。
海外の方が多く、すれ違うとめちゃくちゃ明るい笑顔であいさつをしてくれます。

いい会社は、みんなが良いあいさつが出来ているのです。
カタカナもこんな良いあいさつが、すべてのメンバーが出来ているかと思うと、気が引き締まるのです。


あぁ!たのしかった。

すでに情報がパンパン状態。
でも最後にとても素敵なモノを見せてくれました。


それは「わた入れ作業」

二人一組になってわたを入れる姿は、神聖な儀式をおこなっているようです。


ハンテンを台に置いた後、わたを一面にかぶせます。


そして、ハンテンにあわせてわたをちぎりながら重ねていきます。

一面にかぶせていたわたをすべてハンテンに重ねてから、くるりと裏返しに。


ハンテンにわたがすっぽり入りました。

2つに折りたたんで、内職さんのもとに移動します。
この最後の工程は手まつり縫いで行われます。

宮田織物さんのハンテンが、ここまで手を抜かないモノだとは知りませんでした。


最終の仕上げを待つハンテンたち


あれ?
先ほど織られていた柄のハンテンが
わた入れされていました。

一貫生産のすばらしさを垣間見たようです。


今回はこれでおしまい。
平野さん!本当にありがとうございました。

次回はハンテンを見ていきましょう!