さがしモノの旅 大分・福岡(八女)編
竹のモノを紹介したいと思いました。
やっぱり竹は大分県かな?と思ったのは訳があります。
全国で唯一の竹細工を教える学校があるから。
僕は「さがしモノの旅」をしながら全国をめぐります。訪れた先々で学校が地場産業にあたえる影響力の大きさを感じました。栃木県の益子町には「栃木県窯業技術支援センター」があり、富山県には「富山ガラス造形研究所」があります。そして大分県には「大分県竹工芸訓練センター」が。どの地域にも共通する事が作り手の年代の若さです。
学ぶ場所があると全国から若者がその地にやって来る。すると職人の新陳代謝もあり産地がイキイキしてくる。
全国の竹細工の作り手たちから「別府で勉強した」という声を多く聞いたことをおぼえていました。
初日は別府を駆け足ながら体感した僕たちは、次の日は福岡の八女に向かいました。今回唯一のアポイントを取っていた、うなぎの寝床の富永さんに会うためです。八女市を拠点に「九州ちくごのものづくりと地域のアンテナとして」をコンセプトにお店と地域活動をする彼らは、きっと竹の作り手にも知り合いがいるだろうと思いました。
曇り空の中、富永さんの車に乗り作り手のいる八女市立花町に向かいます。
今回会いに行く方は、長岡由記さんと石田淳さん、それぞれまったく違う業界から、大分県竹工芸訓練センターに同期で入り、その後は別の工房で修行したのち、別府から八女に活動の拠点を移して工房をシェアしながら活動をしています。
さっそく工房に訪れて作品を見せてもらったとたん、もうノックアウト。これです、僕たちの探していた竹カゴは。
このカゴは長岡由記さんの作品。彼女の作品の特徴はとにかく「ガチッ!」とつくっています。同業の石田淳さんから見ても、長岡さんの指の先から「ガチッと液」が出るんじゃないの?くらいしっかりしている。
この作風は八女に来てから完成したそう。別府は繊細。なんでここに拠点を移したかというと、良くも悪くも場所に影響を受けてしまう。次制約のない場所で「自分のモノを作りたい」そう思ったのだそうです。
場所が変わると竹もかわり、昔からこの土地で使われ続けられているカゴを見ていると、だんだん作品も変わる。自分と本気で向き合って作るモノはやっぱり存在感が違います。
もうすこし長岡さんに、竹かごの事を聞きました。
色々考えて作るけど何が売れるか一番わからないのが作っている人。自分で良く出来た!!と思ってもお客様はピンとこない。でも深い部分で理解し分かってくれると本当に嬉しい。
竹は昔は和雑貨の代表で、最近はライフスタイルにあった使い方をお客さんがしてくれている。
竹カゴは、「伝統工藝」の技を凝らした花籠や、「クラフト」と呼ばれるモダンな生活用品。「荒物」と区分けされる農工具などの道具類に分けられます。「デザインの良い悪いは、見る人によって変わるけど、道具は誰が使っても壊れにくい良さがある」と長岡さん。
デザインは良いと思ったものを考えるけど、〈壊れにくい〉=〈安心〉だから結局ガッシリしたモノになっちゃうの(笑)
このカゴの編み方は四ツ目という方法。
八つ目編みが竹かごの主流だが、すっきりとしたこの編み方はシンプルだけにごまかしがきかない。
この茶碗カゴは石田淳さんの作品で、作っても作っても売れてしまう人気商品。食器棚にしまうまでもない日常で使う器などを、軽く水を切りこのカゴに入れておく。ステンレスやプラスチックには無い素敵な空間がキッチンに生まれるはずです。
石田さんは昔の道具を見るのが大好きだそうです。
地域によって使っている素材がちがうのも面白い。
北はあけびや山ぶどうなどの蔓系が多く、もっと寒い北欧などは樹皮を使いカゴを編む。南にいくと草が多くなり柔らかい雰囲気のカゴが多くなる。竹は固いけどしなやかさもあって、面白い材料。竹の良さを引き出したカタチを作って行きたいと教えて頂きました。
地元八女の真竹。山に入りトラックで運んでくる。
油抜きの作業は二人で共同にやって、その他の工程はすべて別々なのだそう。
気が付くと名刺交換もせずに立ち話であっという間に1時間半が過ぎていました。
あぁ!楽しかった。
「ガラスと竹展」に少量ですが間に合わせて頂きました。
ぜひ見に来てください。
男性にもおススメです。
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カタカナ河野のさがしモノの旅のレポートでした。