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さがしモノの旅 福島編 motone

#さがしモノの旅

このシャツに出会ったのは、ある展示会の事です。
雑貨がメインの展示会でしたが、会場の片隅でラックにシャツを並べているお兄さんがいました。
何を隠そう私河野は大のシャツ好き。奇をてらったモノは好きでは無く、シンプルなシャツに惹かれるのですが、この日は少し変わったこのシャツに目が留まりました。


ブースに立っていて、ちょっとイカツイイメージの男性に声を掛けました。
その人がmotoneのデザイナーであり責任者の根本さん。
名刺には「根本ニトロクン潤」と大きく印刷されていました。

「ニトロクンってなに?」と聞くと、「自分はバンドやってたんで、ニトロクンなんすっ。って言うか、バンドはまだやってるんすけど、実家の縫製工場でシャツ屋やってます。はい。」「いま国内の縫製工場がやばい感じで、このままだと無くなっちゃうんで、頑張ってシャツ作ってるんす。はい。」

なんでニトロクンなのかはわかりませんでしたが、熱い思いでシャツを作っているのが十分に伝わりました。

展示してあるシャツの中で、ひと際変わったシャツがあったのでその場で試着してみました。

その名は「エンゲイシャツ」
あるイベントで苗木屋さんと一緒になった時に、作業する時に着るシャツが欲しいとリクエストされて作ったのがこの園芸シャツなのだとか。

着てみるとめちゃくちゃカッコイイ。
ジャストサイズで着るよりも大きめを選んでダボダボで着るのがおススメです。
※河野これ買います。

カタカナでPOP UPイベントをやる事が決まり。
会期の1が月前。
「やっぱり、モノ作りの現場を見た方が良い」
突然、店長の妻が言いました。

12月は繁忙期なので自由が丘の店を離れることが出来ませんが、1月だったらと福島出張を決めたのです。


東京から新幹線やまびこに乗り、あっという間に新白河。
そこから在来線で矢吹駅に向かいます。


そして辿り着いたのがmotoneの看板が掲げられた縫製工場。


事務所で根本さんがmotoneを作る事になったきっかけを聞きました。
根本さんは若いころからずっとバンドをやっていて東京に暮らしていたそうです。
自分のライブでCDやバンドTシャツを売る感覚で、実家がシャツ工場という事もありオリジナルのシャツを作って販売していたそうです。


その時生まれたのがこの袖口にリブの付いたシャツだそうです。
しばらくの間、ライブ会場で売る為にお父さんの経営する実家の工場にオーダーを出していたのだそうです。「その時は縫製工場のお客さんでした」と根本さんは笑います。


その後、根本さんが福島に帰るきっかけは、3.11の震災でした。

帰ってきて工場の状態を見た時、色々な面で大変な状況だったそうです。
何が大変かと言うと、縫製工場としての事業構造でした。
縫製工場の多くは賃加工といって、商社やふり屋から仕事をもらいます。この事は売れている時代であればドンドン仕事が来て、数をたくさん作る事で安い加工賃でもやっていけたのですが、今はモノが売れない時代です。工場は稼働率が下がると死活問題。
また、商社などを通す商売は間に何にもの人が入る為、仕様書の不備などで判断をあおぐ場合、伝言ゲームのようになる危険があり、その間工場の作業はストップしてしまいます。

根本さんはこの事を「明日の仕事が無い恐怖」と言いました。

「これからは商社のようなところでは無く直接ブランドと商売しよう」
そう決めて動き出しました。
彼の持ち前の積極性で仕事を取って来るのですが、ここで問題が起こります。
新規開拓したブランドたちは大量生産では無く、1つの生地を使いシャツもジャケットも作り、ワンピースやスカートの生産を依頼されます。

でも、実家の工場はシャツ、ブラウスの専門工場なので、今までジャケットなどは縫ったことがありません。
仕事を取ってきたはいいが、勉強しながら生産をするバタバタが続きます。

人材の面でも問題がありました。
国内の工場では良く見る光景ですが、アジアなどの海外研修生でコストを抑えた経営を10年以上続けていました。でも4,5年前から研修生の募集も少なくなって、質も落ちて来たそうです。10年前は100人以上が面接会場に来ていたのが、3年前には10人も会場にいなかったのだとか。
「昔は日本に行きたい!縫製の技術を学びたい!と言う人が多かったが、縫製の仕事は現地でも人気が無いのかもしれないです」

じゃあどうするか?

「日本人だけで工場をやろう」

そう決めたそうですが、ここにも問題が、、

いま工場には8人の日本人の女性がいます。技術力はピカイチですが平均年齢が60才を越えてしまうかも?
「20年後30年後を考えた時にこのままではヤバい。」

誇りを持てるようなオリジナルのブランドを作って、若い人が定着するような仕事場にしないといけない。

これがモートンの生まれるきっかけです。

そんな思いで大切に作られたモノは、ワークシャツと言っても、シャツの専門工場だけあってもの凄く丁寧な縫製をしています。着心地の良いシャツがそのままに、使い心地の良いシャツになっています。

<少し専門的な解説>
アームホールや袖下と脇下は「折伏せ縫い」です。カジュアルなワークシャツなどには、生地の裁断面が見える「インターロック仕上げ」が多いのですが、motoneでは高級シャツと同等以上の仕立てにこだわりました。また袖口とリブの縫製には二本針オーバーロックミシンを使い、伸び縮みする生地をスムーズにつなげています。両裾の脇は、五角形のガゼットで補強しています。


袖口のリブは4色から選べます。
※一部4色対応していないスタイルもあります。
(2020年のイベントでの配色です。現在、開催しているイベントではリブのカラーが異なる場合がございます。)

シャツだけではない!

「ファブリックトレーナー」との言葉通り布製のトレーナー。
その他、ガウンコートやワンピースなども展開します。

跡取りの根本ニトロクン潤さんとお父さんの根本社長。

20軒ほどあったこの地域の縫製工場の最後の1社。
でもこの1社から日本のモノ作りが変わるきっかけになればいいなぁと思いました。

1月18日より素敵なシャツが並びます。
女性用はもちろん男性用やユニセックスのシャツを揃えてカタカナ自由が丘店でお待ちしています。

「motone はたらくシャツ展」
日時 2020年1月18日(土)~1月31日(金)
場所 katakana/カタカナ自由が丘店
人は、「よーし!やるぞー」と気合がはいった時、腕まくりをします。
力仕事をする時、洗い物をする時、生活の中でシャツの袖を 上げる機会は意外とあります。
袖口にリブをつけたら快適に上げ下げが出来るようになりました。
縫製工場の跡取りの根本さんが、丁寧に本気で仕立てた、 新しい「ワークシャツ」です。
お楽しみに。

 

※現在こちらのイベントは終了しています。

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▲「motoneはたらくシャツ展・秋」のラインナップはこちらから。