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週末絵本館 第98回 「泣いた赤鬼」

#週末絵本館

2人の優しい鬼のお話しです。

自分の中で「これ、読んだら泣いちゃうんだよな」という絵本が数冊あるのですが、これがその1冊です。
今回、改めて読み直しましたが、やっぱりちょっと泣きました。

わたしが以前に勤めていた保育園では、
2月が近づいてくると、子どもたちがちょっとそわそわし始めます。
それは、節分です。毎年、めちゃくちゃ怖い鬼がやってきます。

5歳児クラスの担任をしていた頃の節分の話しなのですが、
“自分の中の鬼を考えてみよう”というテーマで鬼のお面を作りました。
“おこりんぼ鬼”、“泣き虫鬼”、“めんどくさがり鬼”など、
自分の中のちょっと直したいところをみんなで考え、表情豊かなお面が出来上がりました。

節分の日の当日に鬼をやっつけることで、自分の中の鬼も追い出すんだ!と
頑張って豆をまいて、めちゃくちゃ怖い鬼をやっつけました。
みんなの豆まきのおかげで鬼が退散して、やったー!と喜んでいたのですが、
なんとわたしのかけていたメガネが見当たりません。

鬼からの置き手紙によると、1週間後、
5歳児クラスの12人全員で大縄を10回連続で跳べたら、メガネを返してくれるとのこと。
その節分の日から、「先生のメガネを取り返す!」と、
園庭で、公園で、一生懸命みんなで大縄の練習をしてくれました。
1週間後のその日、12人は無事に10回連続飛びに成功!
「おにー!みんなで10回飛んだよー!!」と鬼の住んでいる丘の方へ向かって、
みんなで大声で成功を報告していると、いつのまにか鬼からの置き手紙とともに、
わたしのメガネが園庭に置いてありました。

置き手紙には「10かいとべたのみてたぞ。すごかった。よくやった」と書いてありました。
親バカではなく“担任バカ”かもしれませんが、この出来事からクラスの一体感がぐっと増した気がします。
今思い返すと、この鬼も優しい鬼だったのかもしれません。

あの時の12人は今年で15歳。あの頃と変わらずに優しくいてくれたらいいなぁと思います。

書き手 つー

・タイトル 「泣いた赤おに」
・作   浜田広介/作 つちだ のぶこ/絵
・出版社  あすなろ書房
・プライス ¥1650

絵と詩を持ち歩いてみませんか。
素敵な絵本を揃えてお待ちしてます。