小さなお客様の事
僕達のお店には色々なお客様が来ます。
その中でも最近感じたのが子供のお客様の事です。
Openしてから10日位経った夕方。
小学3~4年生位の男の子が1人でお店に入って来ました。
親子連れで子供達がお店に入ってくる事は多いのですが、
1人で来る事は珍しいです。
彼はしばらく店内をキョロキョロと見て廻って「スッ、、、」と
出て行ってしまいました。
その時は「小学生の欲しいものはこの店には無いかもね~」
と皆で言って、彼の事は忘れてしまいました。
そして次の日。
また彼がお店にやって来ました。
昨日と同じように店内を見ています。
そして次の日もやって来ました。
でも、昨日よりも少し困った顔をしています。
「何か探しているの?」僕は彼に尋ねると
パッ!と明るい顔になって
「前にこのお店に有った万年筆は有りますか?」と言われました。
その万年筆は在庫を切らしてしまって、追加をかけているのですが、
入荷日がハッキリとしていませんでした。
その事を伝えて、お店に着いたら電話する事になりました。
電話番号はお父さんの携帯番号だったので、
「お父さんにお使いを頼まれたんだね」とお店のスタッフと話していました。
一週間後、やっとその万年筆が到着したので、お客様に電話をしました。
お店 : 「大変お待たせしました、ご注文の商品が入荷しましたので、
ご都合の良い日にご来店ください」
お父さん : 「何度も息子がお邪魔してすみません、自分が行くって聞かない
ものですから、、、」
次の日の夕方。
彼はニコニコしながらやって来ました。
「偉いねー!お父さんに買って来てって頼まれたの?」
「僕が使います!」
「エッ、、、?本当に?」
「ハイ!僕が使います!!」
ビックリしながら僕達はとっても丁寧に万年筆の使い方を説明しました。
そうすると「ありがとうございました!」とペコリと頭を下げて
満足げに走ってお店を出て行きました。
僕は走って行く彼の後姿を見ながら何だかとても嬉しくなってしまいました。
後日談が有ります。
ある日、30代半ばの男性とその方のお母様がお店に来ました。
見覚えの有る方達です。
「こんにちは!なんかすみません、息子が何度もお邪魔してしまして、、」
あっ~~!!
全てが繋がりました。
Openの初日か2日目に僕が万年筆を接客した方です。
お話を聞くと、息子さんはお父さんが使っている万年筆がとても
魅力的に思ったらしく、自分も同じPenがどうしても欲しくなった
そうです。
それでコインを握りしめて毎日僕達のお店にやって来ていたのです。
多分、彼は大好きなお父さんと同じPenを手に入れて、
ちょっと大人の仲間入りをしたのだと思いました。
始めての万年筆を使って、彼は何を感じたのでしょう?
記憶に残るPenになってくれれば良いなと思っています。