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【つくり手訪問の旅】カタカナ社員研修(⑤宮田織物)

#カタカナのつくり手とはこび手

九州の筑後地方・織物の産地を2日間で巡るカタカナ初の社員研修、
2日目は『はんてん』でお馴染みの宮田織物さんから研修がスタート!

宮田織物の平野さんが私たちを迎えに来てくださいました。
「宮田織物へ行く前に、はんてんの中に入れる綿をつくる新川さんのところへ行きましょう。」と平野さん。

新川桂株式会社さんは昭和41年から続く会社さんで、
原綿問屋として寝具用原材料の卸販売や、布団などの製造を行っています。

そして宮田織物さんのはんてんの綿を原料からこだわりつくっているのだそう。
はんてんのなかに使われる綿、実際に見たことがないのでとっても気になります。

 

到着しさっそく工場をのぞくと、
入り口には圧縮された綿のブロックが積み上げられています。

そして奥には綿を均等に伸ばす機械や、たたみ上げる機械などが順に並び、
不揃いの綿がその機械を通過するごとにきれいな『製綿』の姿に変わっていきます。

△手作業で広げられた綿が、機械にゆっくりと運ばれていく。

△緑の機械の中で綿がブレンドされていきます。

△シート状になった『製綿』。均等に広げられた綿は気持ちよさそう。

△製綿の完成。見ただけでふんわりしているのがわかります。

オートマチックな機械の動きに釘付けになる4人、なんだかずっと見ていられます。

新川さんのところでは、シードコットンというランクの高い完熟不綿わたを使用しています。
「製品になった時には綿のランクまで表示はされませんが、良いものを選んでいます。」と教えてくださいました。

綿のことを知り、宮田織物さんのはんてんはどのようにできるのか、より気になります!

 

つぎに宮田織物さんの会社へ。
大正2年に生まれた宮田織物さんは久留米絣からはじまり、現在は皆さんご存知の綿入れはんてんや婦人服をつくっています。
その時代に合わせたものづくりを、「見えないところに手を抜かない」ことを信念として、
生地織りから経製まで一貫して行っています。

入り口にはたくさんのはんてんが並んでいます、見たことのないはんてんもたくさん!
そしてその奥には、デザイン、生地織り、縫製、綿入れなど全てが行われている工場が、私たちを待っています。
「それでは、順番に案内をしていきますね。」と平野さん、ワクワクが止まりません。

まずはじめは『綿入れ』を行うところから案内いただきました。

2人ひと組になって対象の動きで、ていねいに手際よくはんてんに綿を入れていきます。
新川さんのところで見たシート状のふんわりした綿を大きな作業台に広げ、
縫製を終えたはんてんを置き、均等になるよう綿を入れていくその職人技に一同見惚れます。

「だれかやってみる?」と平野さん。さっそく代わって綿入れ体験をさせていただくことに。
実際にやってみるとあんなにスムーズだった動きが鈍くなり、二人三脚の和が乱れます‥。

綿を優しく持つだけではうまく形にならず、また少し力を入れたつもりが穴が空いてしまうほど繊細で、
この力加減と、はんてんに合わせて形を整えていくことがとっても難しいのです。

なんとか1枚綿を入れ終えましたが、改めて綿入れの難しさを痛感しました。

つぎに『デザインを考える宮田織物研究室』へ。


テーブルの上には美しい布が広げられていました。
「デザインを考えサンプルをみてどのような色にするか、糸を変えるかなど検討していくのですが、
そのデザインはまずパソコンで作り上げていきます。」

画面上で折のパターンとスキャンした糸を選択すると、パッと布の完成図が画面上に現れました。


デザインが決まると、そこから『パンチカード』と言われる生地を織るときに使ういわゆる指示書を作るのですが、
一つ一つ正確に穴を開けて行き、また誤りが無いか確認をしていく作業はなんとも骨の折れる用な仕事です。

△パンチカードを作成するコンピューター。カセットテープで記録するそう!

△間違えがないよう穴をあけていきます。

△穴をあけた後も目で見て間違えがないか確認をされます。道のりが長い作業です。

 

そして次に向かったのは『裁断・縫製』が行われる場所へ。
裁断機やミシンがずらっと並んでいました。

織り上がった生地を慎重に、的確に裁断し、ひとの手で縫製を丁寧に行っていきます。

「はんてんの出荷前にはフル稼働でミシンが動きます。」と教えてくださいました。

 

次に向かったのは『経糸の整経』をする場所へ。
驚くほど大きな機械と、たくさんのチーズ(巻き上げた糸)が並べられています。

サンプル用と本番用につくる生地の機械が毎日稼働しているのだそう。
デザインチームで考案された織物の経糸を準備するのですが、
これを手作業で1本ずつ配置をして、最後に機械で巻き上げていきます。

「1本でも間違うとすべて台無しになってしまうので、糸のセットはとっても慎重に行います。中にはとっても複雑な経糸のデザインもあるので。」
とできあがったはんてんを見せてくれました。たしかに経糸3本ずつで色が変わっている図案などはこれまた大変な仕事…。

 

そして経糸の準備が整ったら『レピア裁機』という織り機で生地を織り上げていきます。
ジャンジャンというシャフトの大きな音が、規則正しいリズムで稼働しています。

緯糸が入ると、みるみるうちに生地が織り上げられていき模様が浮かび上がっていきます。

そして機械の横にはデザインチームがつくったパンチカードが!複雑な模様や凹凸なども表現ができるのだそう。

 

ここで織り上がった生地を『検品』する場所へ移動。
ロール状に巻き上げられた布を丁寧にひとの目で確認をしていきます。

見落としてしまいそうなほど小さなキズも見つけ出し、確認をしていきます。
ここでやっと宮田織物さんのオリジナルの生地が出来上がるのです。

 

そしてはんてんは最後の仕上げへ『とじの作業』を行う現場へ。
とじのさぎょうは一本の針をつかって完全手縫いによる作業となります。
綿入れも大切な作業ですが、この『とじ』も長く使われるはんてんに仕上げるための気の抜けない作業となります。
綿が均等に入っているかなどしっかりと確認をしながら仕上げていきます。

チームにより作業は違えど、どの場所でもとっても丁寧にものづくりをされていて
『見えないところに手を抜かない』という信念がしっくりとくるのでした。

そして最後に生地の倉庫へ案内いただきました。
これからはんてんになるであろう生地たちが並ぶ棚は見ているだけでワクワクします。

たくさんの工程を踏んで生まれる宮田織物さんのはんてん、
「あぁ早く寒くならないかなあ」と春が来たのにも関わらずはんてんを羽織りたくなるのでした。(書き手:野田)

 

▼次は『宝島染工』さんへ!▼