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カタカナのつくり手とはこび手「Panther 」

#カタカナのつくり手とはこび手

今年の2月に初めてイベントを開催した「Panther (パンサー)」。
大人の方は懐かしく、若い方には新しいレトロなデザインのシューズとして、たくさんの方に手に取っていただきました。
そんなレトロなデザインは1964年につくられたときとほとんど変わりません。
60年前からあるデザインを形にするにはどんな作り方をしているのでしょう。

これは実際につくるところを見なければと24年秋冬シーズンのパンサーのスニーカーをつくっている「シバ製靴」に向かうことに。

ご訪問させていただく前にシバ製靴さんについて調べてみると、足立区北千住にある工場で普段は紳士用の革靴を主につくっているところのよう。
革靴の会社なのにスニーカーをつくるの?と気になることが増えていくばかりです、、、

工場のある北千住駅について進んでいくと
「宿場町通り」と呼ばれる江戸時代に宿場町として栄えた、趣ある通りがあります。
すこし歩くと瓦屋根の木造建築がちらほらとありお散歩するのたのしそうな街並み。
そんな通りを進んでいった先に、シバ製靴さんはありました。

カラーバリエーション、サイズとさまざまな種類があるパンサーの生産ラインを担う場所なので大きな工場なのかなと想像していましたが、意外とコンパクトな建物。
ここであのパンサーはつくられているの?と疑問を浮かべつつも建物に入っていくと、、、

工場のなかには、機械がびっしり。その中でもくもくと手を動かし製作している職人さんたちがいらっしゃいました。

どんな作業をしているのかよく見てみると、それぞれの作業を分業して1足を作り上げています。
みなさん、自分の作業を身の回りだけで完結させ、流れるようにスニーカーをつくっていました。
たくさんある機械や配置に至るまでつくりやすいよう考えられた無駄のない配置は見ているだけでわくわくします、、、!
 
ここからは靴のくわしいつくり方を説明していただきました。

工程は大きく分けて、裁断、縫製、成型、仕上げの4つ。
シバ製靴さんではおもに成形と仕上げの、製品のクオリティに大きくかかわる2つの工程を担っています。

まず、シバ製靴さんに届くまでに海外工場で裁断と縫製をして平面のパーツをつくります。
そして熱と圧力で靴の形をつくる「吊り込み」という作業をして平面から立体に。

ここまでの作業を終えたパーツがシバ製靴さんに届き、吊り込み後の成形、仕上げの作業をしていきます。

うわもの(アッパー部分)、インソール、ソールのパーツがそれぞれ工場におくられてくるので、パーツたちを合わせて成型していきます。

うわものにアウトソールを張るための準備をするのですが、ここが特にスニーカーを長く使えるようにするために大事な工程です。

アウトソールがしっかりと貼れるように、縫い代の凹凸をハンマーで叩き、凹凸が取り切れないものはやすりで削り、きれいな平らな面をつくります。

平らにする作業は、凹凸を整えつつハンマーの跡が残らないような絶妙な塩梅の力加減で叩いていきます。
簡単にやっているように見えて、ベテランの職人さんだからできる経験のなせる業なんだそう。

平らになったものにアウトソール用の目印をつけていきます。
印をつける時もポイントがあり、アウトソールよりも少しだけ内側に線を描く。
そうすることで、線ぴったりに塗ったのりがはみ出さずとてもきれいに仕上がります。
目印線も、ソールに隠れてしまうので一石二鳥なのです。

美しく仕上げるためのちいさな、でもかかせないこだわり・気づかいです。

次は、アウトソールを貼る作業に進んでいきます。
アウトソールを貼るときは、勢いと丁寧さと両方大事!
生地にのりがついてしまうため貼り直しができないので、アウトソールの貼り作業は一発勝負です。

職人さんによると、
シバ製靴さんで作っている通常の紳士靴はアウトソールの方が大きいため、うわものがはみ出さないようにするだけで、時間がかからずに貼ることができます。
でもパンサーのスニーカーは、うわものより小さなアウトソールを目印の線に沿って貼っていくので、とても気を使いながら作業をしていらっしゃるそう。

それでも、緊張しながら見ている私たちとは対照的に、職人さんは丁寧に、すばやく作業していきます。流れるような手さばきは迷いがなく、見とれてしまいました、、、

手で貼った後は、機械で圧力をかけて取れないようにしっかりと貼り付けていきます。

最後に、仕上げをして、梱包に進んでいきます。

天然素材の部分を中心として全体に傷、汚れがないかをチェックしていきますが、シバ製靴さんの職人さんはとっても細かなところにまで気を配り点検をしていました。

アウトソールぎりぎりの糊のはみ出しなど、私たちには違いがわからないくらい繊細に仕上げをしている作業を、カタカナのスタッフみんなでまじまじ見つめてしまいました。

そして丁寧に梱包をして、やっと1足のパンサーのスニーカーが出来上がります。

説明していただきながら、スニーカーができていく様子を見ていましたが、こんなに工程が多いのか、、、と驚いていると、
普通の靴と比べても、パンサーは特に一足の工程が多いのだとか。

手間暇かけてつくられた一足は、説明を受けた後ではより美しく見えました。
美しいきれいなシルエットのスニーカーにするためには、見えない工程がとても大事なのですね。

丁寧な作りと長年の職人さんの経験からくる細やかな気づかいは、「特にシバさんはすごい!」と今回工場の説明をしていただいたパンサーの西岡さんはおっしゃっていました。

工程のお話を聞いていく中でも、職人さんがそれぞれの工程をするとき今のやり方よりもっと良い方法があるのではないかと考えながら作っているのが感じられます。

使い手に長く使ってもらうために労力を惜しまない熱意を感じられるスニーカーは、これぞメイドインジャパンでした。

パンサーのこれからについての話をお聞きした時、西岡さんは、

これからも、自分がやっていることに誇りを持ち、美しさを求め、使い手が長く使いたいと思えるようなモノづくりをする職人さんたちとともにスニーカーをつくり続けていきます。

このこだわりをたくさんの方に知ってもらい、よいと感じてもらった方の元にとどけていきたい。

最後にそう教えていただきました。

今回、取材を通し長く大切に使いたいと思うものにはこれだけの人の思いや気づかいによって一つの商品がつくられていることを知りました。

日本ならではのものづくりの考えから生まれたスニーカーを、毎日のなかで気軽にそして大切に使い続けてもらいたいとあらためて思う体験でした。

 

 

追伸
取材のときのお昼の出来事。

工場に向かう前に、時間がない中おなかがすいてしまった3人。
駅でエスカレーターを上がっている途中、ゲソてんがのったお蕎麦の看板が!
ツルっとたべればいけるかと、駅のホームの立ち食い蕎麦屋さんでお昼を食べることにしました。
時間がないのでみんなもくもくと食べていましたが、ちょうどよいゆで具合に「え、駅の立ち食いそばだけど結構おいしいね?」と急ぎながらも大満足なお昼ごはんでした。

 

「Panther 秋のスニーカー展」は、2024年9月13日(金)-10月6日(日)までカタカナオンラインストア・キナリノモール店にて開催中です。

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