Katakana-日本のかっこいいを集めたお土産屋さん

箒が教えてくれたこと 後編 

#作家さんのこと

南部箒のイベント当日。開店前30分、準備はバッチリ。テンションMAX!
ふと、高倉さんを見ると、作業台に座り箒を黙々と作り始めていました。
「ギュ、ギギッ、ギュュッ」と箒の土台を糸で締め上げる音がまだ誰もいない店内に染み込んでいきます。
11時のオープンと同時にお馴染みのお客様が飛び込んで来ました。たっぷり高倉社長とお話をして洋服箒
と小箒という床掃き用の2本をお買い上げいただきました。
その間僕は高倉さんの口上に聞き入ります。
説明の仕方や間のとり方、質問に対しての受け答え。
そして何より彼の持つ空気感をこの実演販売の初日にすべて吸収したいから。
最初のお客様がお帰りになった後もドンドンお客様が来店されます。気が付くと高倉さんの周りにはお客様
で人垣が出来ていて箒の説明に聞き入っています。なんだろう、この熱気?!高倉社長が声を張り上げて喋
っているのではないのに、店全体がパワーに包まれて凄くワクワクする!お客様もテンションが上がってい
る様子がダイレクトに伝わって来る。これが実演販売のパワーなのか?

その後も次々と箒が売れていきます。ふと気が付きました、お買い上げ頂くお客様がカタカナの顧客さんが
多いことを、南部箒は普通に注文すると3年くらい待つので、すぐに欲しい人南部箒のファンの方がカタカナ
でのイベント開催を知って来店して頂けるだろう?と期待していましたが、そのような方は全体の20%位で、
あとはカタカナのお客様が多かった事に少し驚きました。
初日のお客様を1人1人思い出すと、直接このイベントの事をお伝えした方が多かったのです。1ヵ月以上前から
「こんど11月に本当にすごい箒のイベントをやるので期待してください!」
「買わなくてもいいから高倉社長に会いに来てください。本当に良い箒だから」
興味のありそうなお客様に本心からお伝えしました。今回は色々と気が付いたことがあります。
その一つに「伝たえ方」の変化。イベントの告知は最近もっぱらSNSに頼っていました。もちろんSNSやWEB
での告知は今後も大切にしていきますが、目を見張るくらい“口伝え”のパワーを今回感じました。

あっと言う間に夕方になり高倉さんが作業をしながら独り言のように
「この店は本物が売れる店だな、、」
何だかズシンと僕の心に響きました。この半年くらい“カタカナはこれからどの様に進んでいくべきか?”という
問いを繰り返してきました。その答えの一つがこの言葉かも?開業した頃からカタカナは本物へ続く入口のよう
な存在になりたいと思っていました。万年筆の最初の1本、良いお弁当箱、心地よい洋服。この店で出会ったも
のをきっかけにお客様一人一人が興味を持った分野でもっと本物に向かって進んで頂きたい。
その先に僕たちはいなくてもいい、あくまでも入口だから。でも、カタカナはもっともっと素敵な入口なりたい

うれしかった事の1つにお買い上げいただいたお客様の年代があります。とても高価な商品なので、少し生活に
ゆとりのある50代以上の方が中心になると考えていましたが、30代から40代のお客様に多く購入して頂きま
した。海外の高級掃除機を買おうか迷っている方や良い箒が欲しかったけどどれを買えば良いか分からなかった方。
微笑ましかったのが20代後半位のカップル(ご夫婦かも?)が凄く迷いなら床用の箒を買ってくれたこと。
「良いモノを長く使いたい」
「長く使うために良いモノを選びたい」今までの大きな流れだった
「モノによって生活をラクにしたい」とはすこし考え方が変わってきていると実感しています。

2週間の南部箒のイベントはあっと言う間に終了しました。
心配していた売上はなんと今までのイベントの中でTOPクラスでした。今回感じたことは実演販売は凄い!
と言うこと以上に、「思いの力」が大切だということ。お店がモノを思う力、心からお客様に伝えたいと思う力、
作り手の想いのこもった商品そのものの力。近所の人が「カタカナに何だか50万円の箒があるらしい?」と見に
来て「わぁ〜本当だ〜!」と写真を撮っていく(笑)カタカナはまだまだ可能性をたくさん秘めている。箒が教え
てくれたことでした。

katakana 河野純一