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カタカナのつくり手とはこび手 つくる楽しさを伝えたい。「.URUKUST」の手から生まれるデザイン。

#カタカナのつくり手とはこび手

ぽかぽかとあたたかい秋晴れの日、.URUKUSTの工房を訪れました。

横浜市にある工房は、家具デザイナーの旦那様が作られた家具と.URUKUSTの作品があいまってとても居心地の良い雰囲気。

 

.URUKUSTの財布をはじめとするレザーの作品は、シンプルでありながら特別な存在感のある佇まいが魅力。そして、使う場面を細かく考えられた機能まで備わっています。

そのバランスの良さは、.URUKUSTだからこそできるものづくりを感じさせてくれます。

 

この魅力はどのように生まれているのか、デザイナーの土平 恭栄さんにお話を伺いました。

物心ついたころからものづくりに囲まれて育ったという土平さん。

身近な家族が着物の仕立てや洋服づくりなどをされていたこともあり、自分の持ち物や身に着けるものを「つくる」という選択肢が自然と幼少期からあったそうです。

 

中学ではレザークラフトクラブにも参加していたとか。
レザークラフトとの出会いはこのとき。その後も、ものづくりを続け、刺繍や裁縫、DIYなどものづくりに関することは一通り興味を持ってやってきたといいます。

「服や家具など、とにかく「つくる」ということが好きです。なんでもつくりたいので、高校生の頃、「全部自分で作ったもので暮らしたい!」と、〈暮らしの自給自足〉を夢見ていたほどです。」

 

大学では建築を学び、その後デザイン事務所に入社。元々の知識と経験からバッグをつくることに。
その後アパレルの会社でもデザイナーとしてバッグ作りを担当しますが、その頃からシーズンごとに消費されてしまうプロダクトに違和感があったそう。

「一つのものを長く使ってほしい。」そんな思いが強くなり、ずっと目標にしていた独立を決めます。

 

様々なものづくりをしてきた中で、なぜレザークラフトを選んだのでしょうか。

「昔から興味を持ってつくることはしてきたけれど、ずっと続けていたのがレザークラフトでした。ずっと続けてきたということは、この先も飽きないかもしれない。そう思い、レザーのプロダクトデザイナーとして独立することを決めました。」

「つくるという選択肢をもっと身近に感じてほしい、レザークラフトに興味はあるけれどハードルがあり挑戦できていない人に届けたいという思いをブランドに込めました。〈.URUKUST〉というブランド名も〈つくる〉をローマ字にしてひっくり返したものです。」

 

そして、.URUKUSTという名の通り、はじめは初心者でもレザークラフトをたのしめるキットのみを販売。つくるたのしさを共有したいという土平さんならではのスタートでした。

そこから財布やバッグなど制作の幅を広げていきます。

作品づくりのこだわりとして土平さんが初めに挙げたのが「素材」でした。

「素材としての革が好きなので、ずっとオリジナルの革を作りたいと思っていました。ですが、初めはタンナーさんに名刺すら受け取ってもらえず相手にしてもらえなかったんです。しつこく通って「なんだ、革のことわかってるじゃん」と思っていただいてからは、今までずっとお付き合いしていただいています。」

素材へのこだわりや熱量が土平さんのキラキラした目から伝わってきます。こうして作られたオリジナルレザー。

革そのものが好きな土平さんは、オリジナル以外の革と組み合わせながら作品を生み出しています。

 

たとえばこちらのコンパクトウォレット。パーツやカラーによって使っている革が違います。

「最初は、本体とフタの部分で同じ革だと単調になってしまうと思い、フタ部分にはイタリアンレザーを使うことにしました。デザインをもっとよくするために、素材違いで作ったのですが、結果的に機能面でもこの財布に合っていたことがわかりました。

イタリアンレザーの裁断方法だとショルダー部分のみを使用することになります。日本の裁断方法だと、牛一頭を縦半分に裁断するので様々な部位が入ってくることになり、状態が不安定なことが多いんです。しかし、ショルダー部分のみを使っているこの革だと、フタにとって大切な安定感やしっかりした質感を兼ね備えているということがわかりました。革自体が好きなので自分で見て、触れて「使いたい!」と感じたものを組み合わせてアイディアにつなげています。」

 

自分の心が躍る素材でものづくりをされている土平さん。

デザイン自体はどのように考えているのでしょうか。

「たとえば財布をつくるときは、『そもそもなぜ財布が必要なのか?』というところから考えます。お金がバラバラにならないように、それらを入れる巾着のようなものができて、お金の区別ができるように仕切りができていった。こんな風に財布の成り立ちに立ち返ることで、既存のものに縛られずに考えることができます。」

 

まず、紙とホチキスで形を作ってみて、そこから余計な部分をそぎ落としていく。
紙にデザイン画を描くのではなく、立体から考えるのにはこんな訳がありました。

「道具なので、動作から考えたいと思っています。余計なものをなるべくそぎ落とした、使いやすくシンプルなものを目指しています。」

この言葉の通り.URUKUSTの財布にはファスナーがなかったり、スムーズに使えるような導線になっていたりと機能的なうつくしさが特徴です。

「この2つ折り財布の特徴は、お札と小銭のどちらも出し入れがしやすいデザインです。よくあるものは、お札と小銭を入れる場所が別々で出し入れが少し面倒だなと思うことがあったので同じ場所に作ることで見やすいデザインにしています。
また、カード入れの片側をあえて縫っていません。革の場合、カードをたくさん入れて使っていた後、革が伸びてしまってポケットが伸びてしまうことがあります。縫わないことで、10枚のカードを入れた後で1枚に減らしても厚みにフィットするようになります。」

 

.URUKUSTの作品は機能だけでなく見た目もシンプルでおしゃれ。そんなバランスの取れた作品を生み出す上で大切にしていることがあるといいます。

「『佇まい』という言葉を大切にしています。「用の美」と言われるように、機能だけを良くして問題を解決するのではなく、完成した時のうつくしさまでまとめるのが、デザイナーの仕事だと思っています。」

佇まいの美しさも機能の一つにする。土平さんのデザイナーとしての一本の芯をおしえてもらったような気がします。

 

最後に、これから挑戦していきたいことを伺いました。

「.URUKUSTは今年で10周年を迎えます。なので「初心にかえる」を一つのテーマにしています。

『MAKING AND THINGS BY .URUKUST』というレザークラフトに特化したウェブサイトを立ち上げました。このサイトでは、自宅でレザークラフトを楽しんでいただけるようにキットや革素材、型紙の販売をしています。

元々「つくる」を身近に感じてほしいという思いから始まったので、レザークラフトにフォーカスして発信をしています。

レザークラフトのイメージに「ほっこり」とか「ナチュラル」みたいなものがあると思うのですが、そういうものではなくシュッとしたかっこいいイメージにしたいです。「買う」ではなく「つくる」という選択肢をより多くの人に知っていただけたら嬉しいです。」

.URUKUSTがこれまでに培ってきたデザイン、素材づくりの経験、そして土平さん自身の想いが広まっていく起点となるコンテンツ。.URUKUSTの新たな挑戦に私たちもとてもワクワクしました。

 

土平さん、ありがとうございました。

.URUKUSTの革もの展』は今月28日までとなります、
ぜひ店頭・オンラインストアでチェックしてみてくださいね!

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カタカナ自由が丘店からのお知らせでした。