Katakana-日本のかっこいいを集めたお土産屋さん

めぐるめぐる 僕の今年の夏休み

#コラム

今年は10年ぶりにお盆に弘前に帰らなかった。
正確には「帰れなかった」だけど。

今年3月の時には「会社が潰れてしまうかも?」と思う反面、8月のお盆にはウイルスは落ち着いていて、例年のように青森でリラックスしている姿を描いていた。

結局は多くの関東在住の地方出身者と同じように、帰郷はあきらめた。

せっかくの夏休みをどのように過ごそうかと考えた時に、「やりたいと思っているけど、なかなか出来ない事」をしたいと思った。

いま時間がポコッと3日間出来たらやりたいこと。

「文章を書きたい。」

毎日更新している仕事としてのブログの文字ではなく、心の中から生まれてくるモノを書きたい。

そうだ!作家先生がやるような「カンヅメ」がしたい!そう思いついた。

神田の山のホテルが有名だが、もう少し日常から離れるとなると、

湯河原とかいいな。

検索して良さそうな宿を選び予約をした。
普段では贅沢な宿でも、GO TOキャンペーンと溜まっていた楽天カードのポイントで、「よし!行こう!」思える価格まで抑えることができた。

==どこへも行かない贅沢==

その宿は想像よりもはるかに居心地が良く、部屋は文字を書くには最高の環境で、食事も文句ない出来に満足。
さらに部屋の隣が大浴場。
最初は「ん?はずれの部屋か?」と思ったら大当たり!
気分転換したいと思ったらすぐに
「ザブン!」快適すぎで癖になりそう。

その満足宿のフロントに置かれている、湯河原の案内地図やミュージアムのチラシの中に和菓子屋さんのショップカードがあった。チェックインした時からなんとなく気になっていたが、最終日に手に取ってみると、、

「あっ!知っている」

==記憶と縁がつながっていく==

話は1年と数カ月さかのぼります。

昨年のゴールデンウィークに木彫りアーティストのムラバヤシケンジさんと一緒に「ババババッチ展」という、彼の木彫りのバッチを展示販売するイベントを僕のお店のガレージで行いました。

そこに彼の知り合いとして遊びに来てくれたのがニシフジキョウコさん。見るからにファッショニスタで一般人ではない空気感プンプン。でも話すと話題が豊富で人懐っこい魅力的な方でした。

LOVE BOATの仕事をしていたと聞き、「僕の元同僚が働いていましたよ!O君と言います」
「え~!O君と知り合いなの!」

LOVE BOATは僕の前職の(株)鈴屋にいた大先輩の小松さんが(株)ララプランと言う会社を創業し立ち上げたブランドです。
当時若造だった僕が本社勤務でバタバタしているとき、毎年会長の誕生日に、ビシッとスーツ着て大きな花束を抱え、後ろにオシャレな女性をお供に颯爽と会長室に入っていく。

「あれが小松さんだよ」と先輩に教えられました。
20年ほど前の話です。

「そのお供の女はわたしだよ」
「え~!」
いろんなところでつながるものです。

ファッション人間が和菓子屋をやっている?

その時ニシフジさんから「小松さんと今こんなことをやっているんですよ」と渡されたのが黄色い小さなSHOPカード。
小梅堂と書かれていました。小松さんのご実家の家業なのだそうです。
渋谷109をギャルファッションの聖地にリニューアルして、ひとつのファッション文化を作り上げた人が、老舗の和菓子屋をついだことにとても興味をもったのを覚えています。

そして、連休最終日。

フロントで何気なくチラシを見ていると、
年季の入った小柄な角刈りの従業員さんに、
「湯河原でお土産を買うんだったら小梅堂さんが良いですよ。やっぱりあそこが一番うまい」

突然記憶がつながりました。

宿のフロントに置かれた黄色のカードには「小梅堂」
場所は宿から3分と離れていないところです。

チェックアウト後に、妻と小梅堂さんを訪れると、配達から帰ってきたボーダーTで日焼けした男性とすれ違いました。
その人がたぶん小松さん!

突然の大先輩を前に、恐るおそる「あの、、じつは僕は以前(株)鈴屋さんにいまして」と言いかけると、パァっと小松さんの顔が明るくなり。
「君は何期生?」と聞かれ「31期です」と答えると
「だいぶ下だな!僕は10期だよ。よく来た、まあ座りなさい、どうぞ、どうぞ!」

その後1時間ほど、ファッション業界がキラキラ輝いていた時代や、リーマンショックや東日本大震災でのつらい思い出。
そして、これからのことなどを楽しそうに話してくれました。

20歳以上の先輩から、嫉妬してしまう若々しさを感じると同時に、つらくても常に上を見て進んでいくことの大切さを教えていただきました。

思い付きで訪れた湯河原ですが、大正解。
導かれたような出来事に、また訪れる理由が出来ました。

あぁ。。良い夏休みだった。

最後にもう一つ。

湯河原から家にたどり着き、同居している両親にお土産を渡すと。

「あれ?これおばあちゃんが好きだったカルカンのお菓子屋さんじゃない?あんたは覚えていないかもしれないけど毎年湯河原のお土産でいただいたのよ。そうそう、この黄色の包みの小梅堂さん」
もう40年くらい前の話です。

仏壇にカルカンをお供えして、おばあちゃんの写真を見ると、ニコッと笑ったような気がしました。


今回お世話になった富士屋旅館さん


宿と小梅堂さんの間に清流が流れています。


「これプレゼントしますよ!」頂いたのが、これまた大先輩の中野さんの本。大親友なのだそうです。少し前に中村さんからお借りして読み終えていたのですが、直筆サイン入りです。


小梅堂さん。「ここからの角度が良いんだよ!竹林と空の青を入れてね」


小松さんと僕。ありがとうございました。


ほんとうにおいしいです。おすすめ。
ここに行かないと味わえない味。

日本のカッコイイを集めたお土産屋さん
カタカナ河野の夏休みでした。